東京一極集中じゃない

 東京一極集中などと言われるが、東京下町に住んで三十年弱、我が街も衰退している。少なくとも私には、確実に住みにくくなっている。
 裏の商店街が酷く寂れてしまった。魚屋は2軒とも無くなった。ドラッグストア、繁盛していた揚げ物屋、靴屋、パン屋が一軒、居酒屋一軒とラーメン屋が無くなった。やたら出来たのがインド料理屋(近くにできた大学の留学生にインド人が多いため)とフィットネスクラブ、あとはただひたすらマンションが建てられている。商店街を歩いているのは爺さんと婆さんばかりだ。我が集合住宅に子供はほとんど見られない。それにしてもこんなに増えてしまったフィットネスクラブに、爺さんや婆さんたちが行っているのだろうか。
 商店街から少し歩くと、回転寿司も大手チェーン中華も無くなった。居酒屋やスナックはごっそりと無くなっている。ちょっとまとまった買い物をしたい場合は駅前まで行かねばならない。大多数の年寄りらは、トボトボと商店街を歩いて駅前まで足を伸ばしているようだ。
 特にここ数年は衰退が止まらないような気がしてならない。本当は東京一極集中ではなくて、中央区や港区などの特殊区一極集中なのではないだろうか。
 我が下町の十年後が恐ろしい。商店街そのものが死滅してしまうのではないか。街づくり以前に、街の成り立ちが生活からどんどんかけ離れて行ってしまうように感じてしまう。
 全国各地の都市でも似たような事態になっていると考えたら、失われた五十年は目の前だ。

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