外交安全保障を担当する内閣官房担当者が主催する勉強会で講演をしてきた。選挙に出たいと考える人も多数いるらしい。話し終えて司会者が質問を募った。するとこんな質問が飛んできた。
「参議院選では外国人問題が選挙のテーマのようになって参政党が躍進したが、日本にとってより近々の課題であるはずの台湾有事問題は、なぜ選挙戦でどこの政党でも政策を主張しなかったのか」
確かにそれも一つの直近テーマでもあるかもしれないが、私はこう答えた。「私は偉い評論家の先生ではないので、ここでは選挙屋さんの視点でしか話さないが、瞬間的にはマスコミの俎上には乗りにくいし、単純に右か左かでは語れないし、要は今回の選挙戦では何を言っても有権者の理解は得られにくいと全ての政党が考えたのだろう」
質問者は不満そうな顔で頷いたが、短期集中型の選挙なんてそんなもんである。時に弱小政党や弱い候補者が勝負型に持ち込むためには、世論を二分するテーマを選挙戦に持ち込み、そのテーマを育て上げ、マスコミや世の中が反応すれば勝利の可能性が見出せる。元々弱かったのに、互角の戦いに持ち込める俎上ができたのだから。選挙戦で有権者の利益のための本質論が語り語られるのは、実は滅多に無い。
それにしてもこの質問者の言う内容は、じっくり考えてみればかなり恐ろしい。ウクライナは米、英、仏、中国、露の安全保障のもとにかつて核を捨てた。だから核保有は必要だという単純な話ではなく、他国頼みでは自国は守れないという正論が改めて成り立つ。アメリカだって最終的には自国の利益のためには日本など知ったことではないと、トランプ大統領が懇切丁寧に教えてくれた。
国際状況は年々大きな変化をし続けている。果たして日本は今後の変化についていけるのか。今だに「戦争ではなく話し合いで解決しましょう」と言うだけで、そこから一歩も進まず、手段を全く語らない政治家はもう勘弁してほしい。
出現しない有権者の本質論

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